http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20100922ddn003040023000c.html
◇特捜の都合、優先か
◇「改ざん」ずさんに
大阪地検特捜部に逮捕、起訴された厚生労働省の村木厚子元局長(54)に無罪判決が言い渡された障害者団体向け郵便料金割引制度を巡る「郵便不正事件」で衝撃的な事実が判明した。捜査の主任検事による「証拠改ざん」。押収したフロッピーディスク(FD)の記録を、捜査側に都合のいいように書き換えた疑いがある。なぜ「6月8日」に改ざんしなければならなかったのか。【日野行介】
大阪地検特捜部は昨年5月26日、厚労省元係長、上村勉被告(41)のパソコンのFDを押収した。主任検事だった前田恒彦容疑者(43)は同7月13日、このFDデータに残され、上村被告が実体のない障害者団体「凜(りん)の会」(解散)に渡すための偽証明書を作成した記録を改ざん。最終更新日時が「04年6月1日午前1時20分」となっているのを「6月8日午後9時10分」と変えた。
04年当時、「凜の会」は、障害者団体向けの郵便料金割引制度を利用し、低額で郵便発送しようとしていた。04年6月8日、凜の会は郵便局に承認請求をしたが、厚労省の証明書がなく、請求が通らなかった。上村被告が作った偽証明書は「凜の会」に渡り、同10日、郵便局に提出されていた。偽証明書の日付は5月28日。特捜部はこれらをつかみ、凜の会発起人の河野克史(こうのただし)被告(70)=1審有罪、控訴中=を追及。河野被告から「急きょ凜の会代表に、証明書を発行するよう厚労省の村木課長(当時)に要請させた」という供述を得た。
これらのことから特捜部は(1)6月8日に村木元局長が凜の会代表から要請を受け(2)その日、上村被告に5月中の日付で証明書作りを指示(3)上村被告は夜にパソコンで作って翌日、村木元局長に渡した−−との「ストーリー」を描いたとみられる。上村被告が1週間前の6月1日に証明書を作ったという事実は、凜の会の動きと時間的にずれ、特捜部には都合が悪かった。
しかし、改ざんまでしたFDは証拠として法廷に提出されず、改ざん3日後の昨年7月16日に上村被告に還付された。一方、改ざん前のFDの記録は「捜査報告書」(昨年6月29日付)に添付され、弁護側に証拠開示された。捜査報告書は、検事ではなく特捜部の事務官が作った。改ざん前の真のデータが表に出た理由は謎だ。
昨年7月4日の起訴から間もない同16日に改ざんしたFDを上村被告側に還付した理由も不明。上村被告の弁護人も「普段はなかなか還付されない。何か意図があったのか……」と首をかしげる。
結果、二つのデータが存在することになり、ずさんな改ざんは「効果」を発揮しないだけでなく、検察を大きく揺るがせる事態に。謎は多いが、検察側に不都合なデータをごまかす意図があったことは否定できない。一転して「検察の犯罪」が問われている。◇捜査を巡る主な検察の不祥事◇
93年11月 ゼネコン汚職捜査で、静岡地検浜松支部検事が参考人に暴行し懲戒免職。特別公務員暴行陵虐致傷容疑で逮捕。有罪確定
94年 6月 東京地検検事が参考人に暴行したとして停職3カ月の懲戒処分を受け、辞職
10月 東京地検検事が取り調べ中の茨城県つくば市議に暴行し、停職3カ月の懲戒処分。辞職
98年 6月 新潟地検検事正が親族の税務調査をめぐり税務署長に抗議文提出。戒告処分を受け辞職
01年 3月 福岡地検次席検事が、福岡高裁判事の妻に対する捜査情報漏えい疑惑で停職6カ月の懲戒処分を受け辞職。情報漏えいは不起訴
02年 5月 大阪高検公安部長が暴力団関係者から接待を受けた見返りに捜査情報を漏らしたとして収賄容疑で逮捕される。実刑判決確定
05年 1月 知人の被告に内部文書を渡した宇都宮地検事務官が停職1カ月の懲戒処分を受け辞職
9月 偽造した電話聴取書を裁判所に提出したとして長岡区検事務官が減給の懲戒処分
07年 5月 緑資源機構の官製談合事件で、東京地検特捜部が公正取引委員会から借りた証拠品紛失。担当検事は戒告の懲戒処分
時事ネタをこの機会にひさびさに取り上げてみました。この障害者郵便割引不正の冤罪事件で、FDの日付を都合のいいように改竄したことが発覚したのも氷山の一角でしょうね。日本の警察や検察は腐りきっていますね。
絶対不可視の密室の中で、都合のいいように虚偽の自白供述を強制されたりして冤罪事件がつくりだされてきたことは幾多となくあります。飯塚事件のように冤罪にあるのでも関わらず、死刑が実行されてしまった例もある。冤罪の疑いが判明したことを含めて、氷山の一角に過ぎず、刑務所の囚人の中には冤罪で泣いているいる人もたくさんいます。自白の強要に留まらず、足利事件のように精度が曖昧で何の証拠としてなし得ない当時のDNA鑑定を都合がいいから、証拠として採用されたりしまった。逆に、警察や検察の描くエピソードに都合が悪いからという理由で、葬られた証拠も多数あるのでしょう。今回は証拠の改竄(この証拠は裁判では採用されずに、逆に改竄がばれると二重に都合が悪いので隠蔽されたが)という事態。この国の警察や検察、司法は心底腐っていて、とても信用できたものではありません。
この一連の証拠を改竄を含む、自白強要、その他モロモロの冤罪や不祥事の数々は、警察や検察、司法、いや、日本政府や日本社会に悪性腫瘍のように強固な根を張って巣食う大日本帝国時代からの伝統です。
大日本帝国が敗戦し、ポツダム宣言受諾を決定した直後から、天皇や軍、警察・内務省、外務省などの機密文書などが焼却され、素早い証拠の隠滅にかけては大日本帝国に勝るものはありません。証拠のたんなる隠滅に留まらず、歪曲した報告書をでって上げたり、事実そのものを改竄したり、あるいは偽装工作を行って戦争犯罪を誤魔化そうとしたことは、大日本帝国およびその植民地、占領地の各地で行われました。
バハル島事件が有名ですかね。バハル島では、慰安婦狩りやただ同然でタバコなどの作物を供出させたりしたことが反発を買っていたが、日本軍の嘱託が村長を殴打したことがきっかけとなり、その村民が嘱託を殺し、日本軍の見張り所を襲うということがあった。日本軍が討伐に向かい、村民たちは山へ逃げ込むが、日本軍の呼びかけに応じて山を降りた。ところがその村民たち400〜700人を銃殺した。これがバハル島事件です。
戦後、戦犯追及を恐れた日本軍は、帰順した村民をその場で射殺したという報告書を、村民による計画的な蜂起事件であり、先頭に巻き込まれて多くの村民が犠牲になったかのように作り変えた。その結果、戦犯裁判にはかけられなかったというわけです。
あくまで今回の障害者郵便割引不正事件の証拠改竄等を含むすべての不祥事、冤罪事件は氷山の一角です。中国漁船が海保巡視船に衝突した事件だって、本当に中国漁船側が故意に当ててきたかどうか怪しいです。海保側は証拠映像があると言っていますが、いまだに出してこないでしょう。もしかしたら、今も証拠映像の捏造編集作業の最中なのかもしれません。海保自体、悪しき大日本帝国海軍の出自で、国土交通省所属ですが、事実上海上自衛隊と変らない軍隊組織ですからね。大日本帝国の悪しき体質をたっぷり引き継いでいますからね。柳条湖事件というのをご存知でしょうか。関東軍が自ら鉄道を爆破し、中国側の仕業として満州事変のきっかけとした自作自演の事件です。中国漁船事件、私はこういう匂いがします。
この事件ひとつをとっても、日本が史上最低最悪の醜悪ファシスト国家である大日本帝国を強固に引き継いでいることは明白で、下劣で、性根腐りきった、世界の梅毒汚物国家であることは間違いありません。