http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-27/2007122701_01_0.html
高校日本史教科書での沖縄戦「集団自決」(強制集団死)の記述に関する教科書検定問題で、文部科学省は二十六日、教科書会社六社から出ていた訂正申請を承認しました。「軍の強制」を削除した検定意見は撤回せず、訂正申請でも日本軍による「強制」「強要」などの表現は認めませんでした。日本共産党の市田忠義書記局長は「『沖縄県民の思い』を踏みにじった福田内閣につよく抗議」し、あらためて検定意見の撤回を求める談話を発表しました。今は南京大虐殺や従軍慰安婦の問題とともに、沖縄戦での集団自決問題に関しても歴史修正主義者・右翼勢力との熱い戦いが起きている。福田政権は安倍ファシスト政権と変わってかなりリベラルな政権だと思っていたが、自民党政権である以上、その大日本帝国的な野蛮な加害歴史否定体質は根本的には変わっていないようだ。南京大虐殺や従軍慰安婦などの国外の侵略先で行った数々の戦争犯罪や残虐行為も重要だが、大日本帝国天皇ファシスト体制が国内で国民に対して行った卑劣な暴虐行為も忘れてはならない。集団自決は軍の強制というが、"軍の強制"という生易しい表現で片付けられるものではなく、実態は軍による虐殺である。従軍慰安婦などと同じくあくまでも"日本軍"と"強制"を結びつけるような表現は断じて認めないということ。"日本軍の強制によって集団自決に追い込まれた"!日本軍は集団自決を強制した"、あるいは"日本軍はスパイ容疑で殺害した"などとする日本軍が住民を直接加害したことを述べるのは禁止。"日本軍の関与によって集団自決は追い込まれた",ただ単に「日本軍は」という主語はなく、あるいはただ単に"住民は自決を強制された"というお茶を零した無難な表現にしろということ。
各社は「日本軍の強制によって集団自決に追い込まれた」「日本軍に自決を強要された」などの表現で訂正申請をしていました。
しかし、教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会の意見に基づいて文科省の教科書調査官が、「直接的な軍の命令は確認できない」「単純化した表現では生徒が誤解する」として、各社に再申請をさせました。
その結果、「軍の強制」という表現はなくなり、「日本軍の関与によって集団自決に追いこまれ」などの表現に改められました。
一方、「住民は米軍への恐怖心をあおられたり、捕虜となることを許されなかったり、軍とともに戦い軍とともに死ぬことを求められたりもした」など、住民の状況を詳しく説明する記述が追加されました。
また、検定意見撤回を求める沖縄県民大会が開かれたことを書き加えたり、「集団自決」について「日本軍によってひきおこされた『強制集団死』とする見方が出されている」と注記した訂正も認められました。
「集団自決」から「軍の強制」を削除した検定意見は沖縄県民の怒りをかい、九月に開かれた検定意見撤回を求める県民大会には十一万六千人が参加しました。東京で検定意見撤回を求める「市民の会」が結成されるなど、県外各地での運動も広がっています。
しかし、文科省は訂正申請の審議は「検定意見の趣旨を踏まえておこなった」としています。意見を撤回しなかった審議会と文科省に対し、沖縄では地元紙が「『軍強制』認めず 『関与』に後退」という見出しの号外を出すなど、「沖縄の思いを受けとめていない」との抗議の声があがっています。
沖縄戦「集団自決」記述の変更例
申請本(検定前) 検定後 最初の訂正申請 認められた訂正記述 実教出版 この過程で、日本軍は、県民を壕(ごう)から追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍のくばった手榴(りゅう)弾で集団自害と殺しあいをさせ、800人以上の犠牲者を出した。 この過程で、日本軍は、県民を壕から追い出したり、スパイ容疑で殺害したりした。また、日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった。犠牲者はあわせて800人以上にのぼった。 この過程で…殺害したりした。また、日本軍は、住民に手榴弾をくばって集団自害と殺しあいを強制した。犠牲者はあわせて… この過程で…殺害したりした。また、日本軍は、住民に対して米軍への恐怖心をあおり、米軍の捕虜となることを許さないなどと指導したうえ、手榴弾を住民にくばるなどした。このような強制的な状況のもとで、住民は、集団自害と殺しあいに追い込まれた。これらの犠牲者はあわせて… 清水書院 なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた。 なかには集団自決に追い込まれた人々もいた。 なかには、手榴弾を配布されたり、玉砕を強いられたりするなど、日本軍の強制によって集団自決に追い込まれた人々もいた。 また、軍・官・民一体の戦時体制のなかで、捕虜になることは恥であり、米軍の捕虜になって悲惨な目にあうよりは自決せよ、と教育や宣伝を受けてきた住民のなかには、日本軍の関与のもと、配布された手榴弾などを用いた集団自決に追い込まれた人々もいた。
「集団自決」の再検討
http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/paper11.htm
では、沖縄県ではなく、サイパンヤテニアンなどの太平洋諸島でも、フィリピンでも、満州でも起こったのである。投降をしようとした人が背後から日本兵に射殺されたり、投降を呼びかけた人が日本軍によって殺害されたりしている。実際の集団自決の実態からすれば、日本軍に集団自決を強制されたという表現すらとてつもなく生易しい表現に聞こえる。実態は日本軍による邦人の大量殺戮である。アジア・太平洋地域各地で占領地の住民に対して人事を絶する凄惨な大量虐殺、女性を慰安婦として大量の監禁強姦を行っており、そういった侵略と加害行為の成れの果てが沖縄や太平洋諸島の各地で集団自決という邦人の殺戮にいそしむ日本軍の姿であった。
住民を『集団自決』に追い込んでいったのは軍でした
http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/paper83.htm
そんな雰囲気の中で村の幹部が「集団自決」を主導したとしても、それを軍の無関係を証明するものだというふうに結びつけるのは当時の沖縄の状況を無視するものです。や
米軍が上陸したところでも、前島や粟国島などのように日本軍がいなかった場所では住民は投降しています。この点でも日本軍の強制性を示すことになるのではないでしょうか。
http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/paper83.htmでは
沖縄本島周辺の島々を見ると、日本軍がいない島では「集団自決」はおこっていないし、ほとんどのところではそういう意思すらもなかったことがわかる。軍がいない島では島幹部の判断で投降して犠牲を最小限にとどめている場合が多い。そしてその投降しようという判断をする場合、移民帰りが重要な役割を果たしているケースが多い。という風に、日本軍がいなかった場所では集団自決はおこっていないことが林博史氏の研究によって分かっているのである。日本軍と住民の集団自決の関連についてはもはや明白であろう。
ところで、集団自決の件もそうだが、南京大虐殺や従軍慰安婦の問題について、日本政府が責任を認めず、曖昧にし、お茶を濁して日本軍の加害性を弱めようとする努力はおこたなない姿勢、あるいは右翼はさらにその上を行き、集団自決の強制どころか、日本軍の関与すら否定、南京を平和的に占領した、従軍慰安婦はいない、先の戦争はアジアの解放で聖戦などとぬかしやがる。日本政府はその右翼を野放しにしているのだ。そういうことのために、どんでもない日本の悪評が広まっているようだ。
文科省の態度に怒りの緊急集会 「集団自決は強制だ」
http://www.news.janjan.jp/column/0712/0712280062/1.php
同実行委の大浜敏夫共同代表は「アジアのある記者から、日本には相撲以外に歴史歪曲という国技もありますね、と言われた。南京虐殺や慰安婦、集団自決など歴史を歪曲してきたことを皮肉っていた。そう思われない国にするためにも、今回の文科省のやり方を絶対に許すことができない」と述べた。「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長で、琉球大学准教授の山口剛史さんは「日本軍が強制したとの訂正記述を書き直させ、二重の検定で事実を歪曲した」と指摘した。歴史歪曲というのは日本の国技ではない。日本の右翼勢力が行っているものだが、集団自決をはじめ、日本の戦争の責任を積極的に認めようとしない日本政府の姿勢が続けば、もはや歴史歪曲は日本の国技化するのは時間の問題であろう。そうならないためにも、この集団自決の問題に関しては一切の妥協は許されない。文科省と日本政府を糾弾するとともに、来年行われる衆議院選挙で自民党政権をつぶして、良識派政権につなげなければならない。この件については沖縄の問題にとどまらず、日本の民意が問われているのである。