http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-28/2007042815_01_0.html
「司法の役割を放棄した大変恥ずかしい判決」――広島・西松建設訴訟と中国人「慰安婦」事件第二次訴訟の最高裁判決に対し二十七日、原告や弁護団、支援者から怒りの声が上がりました。個人の賠償請求認め 中国人強制連行・「慰安婦」訴訟 最高裁初判断
同日午前に判決を受けた広島・西松建設訴訟の原告らは、判決後の記者会見で「不当な判決だ」と抗議。「裁判所の責任を免れたいという判決で無責任なやり方だ」と怒りをあらわにした原告の邵義誠さん(81)は、「(補償を求め)西松建設との交渉は最後までやっていく」とのべました。
原告団団長だった父・呂学文さんの死後、裁判を継承した息子の呂志剛さん(59)は、「人権を守るためにある司法が正しい裁きをしないとは、いったいどういうつもりなのか。怒りで胸がいっぱいだ」と語りました。
また、西松建設に対し、「なぜ、しかるべき補償をしないのか。私たちはお金を求めているのでない。正義を求めているのだ」と訴えました。
呂志剛さんの父・学文さんは日本滞在中、広島刑務所に送られたために被爆。帰国後は後遺症に苦しんでいました。二〇〇三年八月、八十二歳で死去しました。
作業現場でトロッコがひっくり返る事故に遭い、両目を失明した宋継堯さん(79)は「西松建設とは最後までたたかっていく。終わりはない」と語りました。
西松建設訴訟弁護団の中島憲弁護士は「中華人民共和国政府は、…日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」と宣言した日中共同声明第五項について、「そもそも『国民』という文言はない」と指摘。「中国国民の請求権放棄を勝手に解釈していることは問題だ。しかも、なぜ放棄されたのかを明らかにしていない」と法解釈の誤りと根拠のなさを批判しました。
午後に判決があった中国人「慰安婦」事件第二次訴訟弁護団も判決後、記者会見を開きました。
小野寺利孝弁護士は判決について、「実体的な請求権はあるといいながら、裁判を起こす権利はない。政府に対する要求はできるが、裁判所に訴えを起こすのはダメだという、こんなばかげた判決は司法の自殺行為だ」と批判。「この不当な判決を現在進行している地裁、高裁レベルでのたたかいを通じて、克服するため総力挙げてたたかい抜く」とのべました。
また、「裁判を起こす権利は失ったが、人権侵害を犯した政府や企業に対しての賠償請求権は失っていない」と指摘。「政府と国会はこの判決の趣旨をしっかりと受け止めるべきだ。私たちは全面解決の要求を高く掲げてたたかっていきたい」と語りました。
南典男弁護士は「監禁・強かんは日本軍がやったという事実、被害者が現在もPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しんでいるという実態を確定した。政府と企業は自主的に解決するべきだ」とのべました。
弁護団によると、原告の郭喜翠さん(80)は、中国で判決の結果を聞き、絶句したまま言葉もなく、しばらく涙を流していたといいます。そして「極めて残念である」と話したといいます。
西松強制連行訴訟 戦時中の一九四四年、西松組(現西松建設)は中国山東省の収容所などから中国人労働者三百六十人を強制連行し、広島県加計町(当時)の安野発電所で働かせました。衣食が十分に与えられない過酷な条件下で、二十九人が死亡したとされます。元労働者の故呂学文さんらが九三年に来日し、西松建設に謝罪と補償を求めましたが、拒否され、交渉は決裂。生存者三人と遺族二人が九八年、広島地裁に提訴しました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-28/2007042801_04_0.html
最高裁第一小法廷と第二小法廷は二十七日、中国人の「慰安婦」と強制連行・強制労働の被害者が日本国や企業に損害賠償を求めていた訴訟の上告審で、いずれも「日中共同声明で裁判上の個人請求権は放棄された」との初の判断を示し、原告の請求を棄却しました。 第一小法廷(才口千晴裁判長)の判決は、第二次大戦中に旧日本軍に拉致され、「慰安婦」にされた女性二人が日本国に損害賠償などを求めた中国人「慰安婦」第二次訴訟の上告審。第二小法廷(中川了滋裁判長)の判決は、強制連行され広島県内で過酷な労働をさせられた中国人と遺族五人が西松建設に賠償を求めた訴訟の上告審。いずれも全員一致の判決です。戦後補償裁判、4訴訟も請求権否定 最高裁で敗訴
両判決は、日本軍や企業の違法行為によって原告らが大きな被害を受けたことを認定しました。第一小法廷判決は、当時十三歳と十五歳だった原告が日本軍に拉致・監禁され、継続的に性的暴力を受けたとし、「慰安婦」が強制されたものであったことを認めました。
しかし、いずれの判決も、「中国政府は…戦争賠償の請求を放棄する」とした日中共同声明(一九七二年)により中国国民個人の賠償請求権も放棄されたとしました。一方で「ここでいう請求権『放棄』は、裁判上の権能を失わせるにとどまる」とし、国や企業が自発的に賠償などに応じることはできるとしました。
二つの判決は中国人被害者が訴えているほかの戦後補償裁判への影響が懸念されます。弁護団は「政府に要求はできるが、裁判はダメというのは司法の自殺行為」(「慰安婦」訴訟・小野寺利孝弁護士)、「後は(企業と)補償交渉をしてくださいという、司法の役割を放棄した判決」(西松訴訟・足立修一弁護士)と批判しました。「慰安婦」訴訟は二〇〇五年、東京高裁が原告の請求を棄却。西松訴訟は〇四年、広島高裁が西松建設に賠償を命じていました。
◇ 中国人戦争被害賠償請求事件弁護団によると、最高裁は同日、中国人戦争被害者が賠償を求めている強制連行福岡訴訟、同劉連仁訴訟など三件についてそれぞれの代理人に決定通知を送付したと連絡しました。いずれも高裁では原告の請求が棄却されており、弁護団は上告を受理しない決定になった可能性が高いとみています。元「従軍慰安婦」訴訟に対する最高裁判決について
市田書記局長がコメント
日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、元「従軍慰安婦」訴訟にたいする最高裁判決について、マスメディアの求めに応じて次のコメントを出しました。
◇ 中国人元「従軍慰安婦」が国に損害賠償などをもとめた訴訟にたいする最高裁判決は、個人請求権を認めず、上告を棄却する不当なものであるが、旧日本軍による強制、監禁、暴行の事実をあらためて認めた。
安倍首相は、“強制連行の事実はなかった”などと、歴史の事実をいつわる言動に固執することなくすみやかに撤回すべきである。
http://www.asahi.com/national/update/0427/TKY200704270348.html
戦時中の日本の行為をめぐって中国人が損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一、第二、第三各小法廷は27日午後、計4件でいずれも原告側の上告を退け、敗訴させた。同日午前、第二小法廷が、強制連行をめぐる訴訟で「72年の日中共同声明によって賠償請求権は放棄された」との初判断を示したばかり。この解釈に基づき、戦後補償裁判が次々と姿を消す事態になった。 4件は、戦時中、旧日本軍の慰安婦にさせられたとして中国人女性が国に損害賠償などを求めた二つの訴訟▽中国から強制連行され、働かされていた北海道の炭鉱から45年7月に脱走し、終戦を知らないまま道内の山野で13年間逃亡生活を続けた劉連仁(リウ・リエンレン)さん(00年死去)が、国に賠償を求めた訴訟▽強制連行されて福岡県の炭鉱で働かされた元労働者が国と三井鉱山に賠償を求めた訴訟。全くもって言語同断である。戦後補償の今まで積み重ねた良識派の努力はすべて無に帰してしまったに等しい。日本の最高裁という司法はとんでもない野蛮な判決を下したのである。個人の請求権が否定されているというが、どこをどう解釈すればこんな判決が出せるんだ。「中華人民共和国政府は、日中両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」という文が根拠になっているが、政府間の戦争賠償を放棄すると言う意味で、個人の請求権を放棄するとは一言も書かれてはいない。そもそも、この野蛮な判決を下した裁判官はそもそも人間として血の通った人間であるかどうかを知りたい。私はこの野蛮判決を下した日本の最高裁、司法を断じて許さない。人間性の欠片も感じられない、大日本帝国の加害歴史の中にいた"家族、知人あるいは自身の命を奪われた人"あるいは、"殺されずとも人権を蹂躙された多くの性奴隷強制労働に狩り出された、今もなお身体的、精神的に傷を負い苦しむ人々"といった侵略・戦争被害者・犠牲者の立場に立つことのできないこの国はいらない。しばらくブログを更新するつもりはなかったが、書かせてもらう。もはやこの国には内部浄化は不可能だ。外部から徹底的な正義の天罰を!!!これが私の怒りだ!!!
このうち慰安婦2次訴訟は、第一小法廷(才口千晴裁判長)が判決を言い渡した。二審は「日華平和条約によって請求権は放棄された」と理由を述べたが、「日中共同声明によって放棄された」と理由を変更した。
訴えていたのは、山西省出身の郭喜翠さん(80)と故・侯巧蓮さんの遺族。一、二審とも軍が15歳の郭さんと13歳の侯さんを連行、監禁、強姦(ごうかん)した事実を認定したが、請求を棄却した。最高裁も、この事実認定自体は「適法に確定された」と認めた。
ほかの3件はいずれも法廷を開く判決ではなく、書面だけの決定により敗訴が確定した。
慰安婦1次訴訟は、被害にあった山西省の女性4人が国に賠償を求めたが、一、二審とも、旧憲法下で国の行為は責任を問われないとする「国家無答責」の法理を適用して請求を棄却していた。
劉連仁さんの訴訟で、一審は国家賠償法に基づき請求全額を認めて国に2000万円の支払いを命じた。しかし二審は、不法行為のあったときから20年がたつと賠償請求権が消滅するとされる「除斥期間」を理由に、原告を逆転敗訴させた。
福岡強制連行訴訟では、一審が被告三井鉱山に計1億6500万円の支払いを命じたが、二審は時効と除斥期間の成立を認めて原告を逆転敗訴させた。